川鶴のこと
玉藻よし 讃岐の国は国柄か 見れども飽かぬ神柄か・・・と万葉集で柿本人麻呂が歌っているように、讃岐は豊かな自然に恵まれた風光明媚なところであり、また、四国八十八ヶ所霊場を築いた弘法大師の生誕地であり、涅槃(ねはん(悟りを開くこと))の道場として知られ、日常的なお遍路さんへのお接待を通して、おだやかな気候風土と人柄を育んできました。その讃岐、観音寺で1891年に川鶴酒造は酒造りを始めました。蔵の裏に流れる清らかで豊富な水を湛える清流“財田川”に鶴が舞い降りたことから初代蔵元が酒名を川鶴と命名しました。財田川は地元では別名“宝田川”とも呼ばれ、田に宝をもたらす水源とされています。その川の伏流水を仕込水として、力強く爽やかな酒質を醸しだすことを目指しています。
明治24年創業以来、「川の流れの如く、素直な気持ちで呑み手に感動を」という酒造りの精神が脈々と引き継がれて現在に至っています。 讃岐平野の水田地帯で原料となる酒米が収穫され、螢が飛び交う財田川の地下伏流水を仕込水として醸された「川鶴」は、芳醇で旨味が最大限に引き出され、「力強くて爽やか」な、そして「奥深く心地よい余韻が楽しめる」お酒となっております。
酒造りは米作りから・・・。私たち造り手が農家さんの米作りの苦労をはじめ、原料となる酒米の特性を十分に理解することによって、当蔵が目指す酒質の実現が初めて可能となり、本質的な酒造りに挑むことができるのです。良い原料がなければ、良いお酒はできません。蔵のすぐ裏の田んぼを実験田と位置づけ、毎年大勢の地域の応援団に協力を得ながら、讃岐産山田錦を研究、栽培、収穫を繰り返し、酒質に反映させています。また、地元讃岐産米「オオセト」・讃岐田野々地区の契約栽培米「山田錦」・兵庫県産特A地区契約栽培米「山田錦」・岡山県産契約栽培米「雄町」・生粋の讃岐酒米「さぬきよいまい」を中心とした原料米により、それぞれ個性的な味を引き出していけるよう心がけています。純米酒やお燗酒などの食中酒としてのお酒は料理とのバランスを重視しています。地元で収穫される魚介類や山菜などの料理とマッチするよう、出すぎず引きすぎずの関係を大切にしております。吟醸系などは食後にホッとできるように、最後の一杯で今日一日の疲れを癒し、明日への活力がみなぎるような軽快で爽やかなタイプをお楽しみいただけます。
皆さまに、盃を交わすことで人と人の繋がりが深くなり、楽しく至福のひと時を過ごして頂ければ、当蔵と致しましてはこれ以上無い喜びでございます。皆様の食生活をもっと豊かにするために、これからも感動をしていただけるようなお酒を醸してまいります。
沿革
一世紀の沿革1891年 | 初代川人清造が現在地にて300石余の清酒醸造に着手 |
1901年 | 2代川人一治郎相続 |
1914年 | 酒造工場全20棟完成 |
1919年 | 3代川人一治郎(本名正英)相続 |
1935年 | 全国に先駆けて冷用川鶴の普及宣伝に努める 東京酒類同業組合より名誉大賞の大杯を受賞 |
1937年 | 株式会社川人一治郎商店に組織変更、資本金20万円 代表取締役川人一治郎、専務取締役川人正晴就任 |
1939年 | 資本金27万円に増資、坂出中川正三酒造場を買収 |
1940年 | 戦時下会社を休業、個人免許に変更 |
1942年 | 坂出工場にて米糠焼酎による合成酒製造 |
1945年 | 九州支店(門司)空襲で全壊・廃止 |
1948年 | 4代川人一治郎(本名正晴)相続 |
1954年 | 株式会社川人一治郎商店に酒造免許を移転、資本金430万円に増資 代表取締役川人一治郎就任 |
1959年 | 本社屋と瓶詰工場を新築 |
1960年 | 食品衛生優良施設として県知事表彰に続き厚生大臣賞を受賞 |
1963年 | 四季醸造蔵一期事完了、合名会社山本兄弟商会と共同醸造開始 |
1967年 | 合名会社山本兄弟商会と合併、資本金460万円に増資 社名を川鶴酒造株式会社に変更、全自動瓶詰装置新設 |
1971年 | 四季醸造蔵二期工事完了 |
1972年 | 観音寺市民会館建設寄付により、総理大臣褒状 |
1974年 | 資本金690万円に増資 |
1977年 | 川人一治郎相談役となり、川人洋造代表取締役に就任 |
1980年 | 資本金1,000万円に増資、川鶴資料館開館 |
1981年 | 資本金2,000万円に増資 |
1982年 | 国際アルコール飲料コンテスト金賞受賞 以後3年連続受賞 |
1985年 | 資本金3,000万円に増資 |
1986年 | 全自動瓶詰装置更新 川鶴バイオ食品株式会社設立、納豆製造開始 |
1987年 | 鶴鳴館開館 |
1988年 | 遊鶴館開館 |
1989年 | 高松営業所・清酒大卸免許取得 |
1989年 | 自動製麹装置稼働開始 |
1991年 | 創業100周年 |
1999年 | 自家栽培米山田錦、田野々地区契約栽培米山田錦 取り組み開始 |
2003年 | 広島杜氏・藤野氏勇退、但馬杜氏・寺谷氏杜氏就任 |
2004年 | 川人裕一郎 代表取締役就任(6代目) |
2016年 | 季節雇用から社員年間雇用体制へ移行 藤岡美樹 醸造責任者就任 |
2017年 | 醸造責任者藤岡美樹退職、川人裕一郎就任 |
2020年 | 部体制廃止、チーム体制に移行 |
2021年 | 創業130周年 |
2021年 | 羽豆薫 醸造責任者就任 |
受賞歴
全国新酒鑑評会金賞受賞暦 | 昭和46年、昭和50年、昭和53年、昭和60年、昭和61年、昭和62年、平成3年、平成4年、平成5年、平成6年、平成9年、平成10年、平成11年、平成13年、平成14年、平成15年、平成16年、平成18年、平成21年、平成29年 |
厚生大臣賞 | 1960年 食品衛生優良施設として受賞 |
総理大臣褒状 | 1972年 観音寺市民会館建設寄付により受賞 |
国際アルコール飲料コンテスト | 1982年、1983年、1984年金賞受賞 |
「炙りいりこ酒」 | 2011年度かがわ県産品コンクール最優秀賞受賞 |
「讃岐くらうでぃ」 | 2012年度かがわ県産品コンクール最優秀賞受賞 |
但馬杜氏組合研究会 | 2014年 首席受賞 |
四国清酒鑑評会 | 2015年 吟醸酒の部・純米酒の部 優等賞受賞 |
インターナショナルワインチャレンジ(IWC) | 平成27年「SAKE部門」SILVERメダル(純米大吟醸)受賞 |
四国清酒鑑評会 | 2020年 吟醸酒の部 優等賞受賞 |
四国清酒鑑評会 | 2021年 吟醸酒の部・燗酒の部 優等賞受賞 |
全米日本酒歓評会 | 2021年度 金賞受賞 |
CINVE(スペイン) | 2021年 Gold・Silver受賞 |
全米日本酒歓評会 | 2022年度 銀賞受賞 |
CINVE(スペイン) | 2022年 Silver受賞 |
蔵のこと
四国霊場八十八カ所第69番札所である七宝山観音寺に由来する観音寺市は香川県の西 端に位置する町で、古銭・寛永通宝を模した巨大な砂絵「銭形砂絵」で知られます。 町の中心部から東郊外へ、財田川近くに蔵を構える川鶴酒造は、徳島県池田町で染物 業を営んでいた川人清造によって明治24年(1891)に現在の観音寺の地で創業しまし た。 「川鶴」という銘柄は初代川人清造が蔵の裏に流れる財田川に舞い降りた華麗な鶴 の姿を夢間に見たことから名付けられました。
川の流れの如く素直な気持ちで呑み手に感動を・・・